雑記置き場

メモがわり

皐月賞反省会_220417

 

①事前情報

・中山3回8日目、芝2000(内回り)
・木曜〜金曜にかけて雨

②事前データ

皐月賞は良馬場なら1分58秒台決着 → スピードが要求されるのでマイル路線が高評価
・一方で不良馬場なら2分を越える決着が多い → スタミナが要求されるので2000mの実績を重賞(特にホープフルS
・3回8日目+回復し切っていない馬場のためインから3頭程度離したラインが最適(それよりイン側は終盤伸びない、全体的に外側に寄るので終始外を回されると厳しい)
・馬体重460kg未満
 →0-1-1-20
・前走4コーナー5番手以下
 →0-0-1-24
・出走数6戦以上
 →1-0-1-49
・前走3着以下
 →0-2-3-65
・前走から距離短縮
 →馬券内無し

③予想

1:ダノンベルーガ(川田)
新馬戦で2000を経験、前走共同通信杯(東京1800)は3F33.7をマークし快勝。仕上がりも万全で鞍上に川田と本来なら大本命の一頭。ただ右トモに致命的な不安があるとされており、右回りG1外差し馬場の最内枠ではあまりに怖い。正直、(リップサービスがあるとは言え)陣営から「右回りも使える」とコメントが出ている以上、ユーガの万全エスコートで馬券に絡む可能性もまぁまぁ考えられるが、馬券的な意味も含めて思い切って消し。ユーガすまん、ダービーでは本命にするので……。
2(△):アスクビクターモア(田辺)
前走弥生賞(中山2000)1着馬で、小回り向きの走りは今回高評価。ただ気性に難があり折り合いに課題があること、外馬場でイン枠を引いてしまったことからこの評価に留まった。
3:トーセンヴァンノ(木幡)
出走数11戦なので除外。
4:△キラーアビリティ(横山武)
ホープフルS(中山2000)1着馬。ただ少々内枠を引いたこと、調教がダービーも見据えて万全でないことから評価を少し下げた。
5:グランドライン(三浦)
出走数7戦、ホープフルS9着のため除外。
6:ジャスティンロック(戸崎圭)
京都2歳S阪神2000)1着の実績があるが、前走弥生賞4着、タイムが平凡なこと、4戦中3戦で出遅れていることから除外。
7(☆):ボーンディスウェイ(石橋脩
ホープフル5着、弥生賞3着で中山2000の経験も豊富なため、大穴枠。
8:ダンテスヴュー(吉田隼)
きさらぎ賞(中京2000)2着も馬体重が450kg台のため除外。
9:サトノヘリオス(岩田望)
スプリングS(中山1800)3着もホープフルS13着のため除外。良馬場なら。
10:ジャスティンパレス(M.デムーロ
ホープフルS2着も馬体重450kg台のため除外。
11:オニャンコポン(菅原明)
京成杯(中山2000)1着も時計はそこまで、ホープフルS11着ということもあり除外。
12(◎):ドウデュース(武豊
朝日杯(阪神1600)1着、万全でない仕上がりで叩きに使ったトライアルの弥生賞で2着。枠も中程で悪くない。減点要素が少ないので本命とした。
13:ビーアストニッシド(和田竜)
前走スプリングS1着も出走数6戦、京都2歳S2着もタイムを考えるとあまり評価はできないため除外。
14(○):ジオグリフ(福永)
2000実績こそ無いが1800以下のタイムは優秀であり、外差馬場でこの枠は歓迎。ノド鳴りとゲートが不安要素だが、快晴ではないこと、鞍上がユーイチであり出遅れの可能性が低いことから評価は高い。
15:ラーグラフ(丸田)
ホープフルS3着の実績はあるが弥生賞11着のため除外。
16(☆):デシエルト(岩田康)
前走若葉S阪神2000)がリステッドとは言えタイムが優秀、外目の枠で前残りなら馬券内の可能性があると見て穴枠の評価。ハナに拘り掛かりやすい面はあるが、同じ逃げ馬は自分より内枠なので問題はないか。
17:マテンロウレオ(横山典
前走弥生賞10着のため除外。
18(▲):イクイノックス(ルメール
身体が弱く前走東スポ2歳S(東京1800)から間を空けての出走になるが、持ちタイムを見ると評価せざるを得ない。ただダービー目標のため万全の仕上がりではないこと、大外枠が若干不安要素となるためこの評価としたい。

④結果

図①-1
図①-2

ゲートが開いたタイミングで黒キラーアビリティと黄ジャスティンパレスが立ち上がり出遅れ(図①-1)、ゲートを出た直後に桃デシエルトが躓いてしまった(図①-2)。

図②-1
図②-2

図②-1,2は直線半ばの画像。スタートから勢いのままハナを取ったのは灰アスクビクターモア。その少し外で青ボーンディスウェイと緑ビーアストニッシドが先行している。そして大外から出遅れていた桃デシエルトがハナを取ろうと被せに来ている。
鍵となる橙ジオグリフは、隣の枠から先行したビーアストニッシドの後ろに付ける形になった。あまりハイペースで先行する馬が多くないこと、終盤早めに外へ持ち出したいことを考えると、中程の2列目と言うのはかなり好位置と言っていいのではないだろうか。
そうなると問題は誰がジオグリフの後ろを取るかという話になる。この時点での各馬の位置と実力を考えると、ジオグリフの後ろが1番有利にレースを進められるポジションと言っても良いだろう。当然、各馬がそのポジションを奪い合うことになる。図②-1では、ジオグリフの後ろは黄緑オニャンコポン、水色ドウデュースと続いている。しかし図②-2では、黄サトノヘリオスがインからオニャンコポンを外に押し出すようにしてポジションを奪ってしまった。これによってオニャンコポンとドウデュースはもう一列後ろのポジションになってしまった。ここで高い位置を取れなかったことが、後々にも響くことになる。

図③

前半800mを通過したあたりが図③になる。ここでレースに大きな動きがあった。
それまで中団につけていた紫イクイノックスが外を通って進出し始めたのだ。このタイミングでイクイノックスが動いた理由は、先頭アスクビクターモアにある。ここで、今回の皐月賞前半1000mのラップを過去5年と比較する。
2022(良)
12.6-11.0-11.6-12.2-12.8(1:00.2)
2021(稍)
12.1-11.7-12.5-11.9-12.1(1:00.3)
2020(稍)
12.2-11.3-12.1-11.8-12.4(0:59.8)
2019(良)
12.3-10.5-12.0-11.8-12.5(0:59.1)
2018(稍)
12.6-11.0-11.9-11.5-12.2(0:59.2)
2017(良)
12.1-10.8-12.2-11.7-12.2(0:59.0)
今年は良馬場とは言え雨の影響もあり高速馬場でこそ無かったが、稍重での開催もあった過去5年と比較してもかなり遅いのだ。特に太字にした800〜1000mのラップタイム12.8秒なんて、皐月賞の前半でまず見ないレベルだ。ただ問題は、これがアスクビクターモアにとっては最善のペースだったことだ。
12.7-11.6-11.9-12.5-12.4(1:01.4)
これはアスクビクターモアの前走弥生賞の、前半1000mのラップだ。ステップレースだったとは言え、獲得賞金額からしてしっかり仕上げていた筈の弥生賞でこのスローペースだったので、2000mで勝負するならこのペースが限界だったのではないかと思われる。陣営からのコメントにあるように掛かりやすいことも考えると、2000ならもっと時計の掛かる馬場でないと厳しい気はしている。

図④


話をレースに戻すと、ペースを上げるためにイクイノックスが進出したところで、すかさず橙ジオグリフも後を追うように外に進路を取った(図④)。イクイノックスが自分より前に来たのを見てすぐに動いたところを見るに、ユーイチは最初からこの展開(道中スロー→中盤でイクイノックス外から進出)を予想していたとは思う。それでも確実にプランを実行できるユーイチが凄いのは言うまでもない。
当然、前のジオグリフに合わせて後ろの黄サトノヘリオスも同じ進路を取ろうとするのだが、一度外に動き過ぎて慌てて中に戻している。戻った時も勢いが付き過ぎて、内側の馬に軽くぶつかっている。後述するが、勝ち馬の真後ろのポジションを終盤までキープし続けたにも関わらず最後に伸びなかったのは、こういう部分が原因だと思われる。

図⑤


図⑤が最終コーナーを回っている場面。途中で大きく息を入れられた+内を空けてまだ馬場が生きているコースを通ってきたことで、灰アスクビクターモアがまだ先頭で粘っている。その外から馬場の良いところを中盤から通り続けてきた紫イクイノックス、さらにその外から持ち出してきた橙ジオグリフが前を捕まえようとしている。一方で桃デシエルトは序盤のロスが響き、この辺りから後退し始めてしまった。こうなると後ろに居た馬はどこも苦しい。
まず白ダノンベルーガを始めとした内枠勢は、ずっと馬場の悪いコースを走らせられているので、少しでも外に持ち出したい。しかし灰アスクビクターモア(と後ろに付けている青ボーンディスウェイ)が少しずつ外に寄りながら前を走り続けている所為で、外に持ち出すスペースがない。結果として、馬場が悪いインで最後の追い比べをするハメになってしまった。
では黒キラーアビリティなど、もう少し外側に居た馬は良かったかと言うと、そんなこともない。インから前に行くのは馬場状態を考えると得策とは思えないし、かと言って外へ持ち出そうにも下がって来た桃デシエルトが邪魔でコースが開かない。やはり持つべきは垂れウマ回避だったな、という学びだ。
ならもっと外にいた水色ドウデュースなどは楽だったか?これもノーと言わざるを得ない。ただでさえ中央から外にかけて馬群が広がっている上に、ジオグリフがその1番外側から先頭に立とうとしているのだ。それを外から交わすとなれば、内ラチから10馬身以上離して回すことになる。いくら馬場状態が良くても、物理的にロスが多過ぎる。

図⑥

図⑥がゴール前の最終直線の様子。綺麗に馬場の半分から内側だけ痛んでいるのがよく分かる。逆に言えば、この状態のインを突いて4着まで上がってきた白ダノンベルーガ、これだけ外を回して3着を死守した水色ドウデュースが強かったと言うこともできる。
そして途中まで善戦していた馬達に目を向けると、青ボーンディスウェイは外に持ち出せないまま使う脚が残っておらず14着、黄サトノヘリオスは道中での無駄な動きが祟ったのか17着に終わった。

⑤総括

1:ダノンベルーガ
結果こそ4着だったものの、本来のポテンシャルをほとんど発揮できずともこれだけやれる実力を改めて実感した。左回りのダービーでこそ本領発揮だろう。
2:アスクビクターモア
現状のベストなパフォーマンスは発揮できたと思われる。それ故に、ダービーで今回より良い結果を望むのは苦しいところ。もっと時計が掛かる長い距離の方が、良さが出る感じはある。
4:キラーアビリティ
正直、1番評価が難しい。何しろゲートで勝負が終わってしまった。ただ、裏を返せばポテンシャルをほとんど見せていないのも事実だ。次回はゲートを出たレースが見たい。
7:ボーンディスウェイ
中盤までのレース運びは悪くなかっただけに、現状力負けという印象だった。とは言え血統的にもこれからの馬。夏を越えてからまた見たい。
12:ドウデュース
今回のレースに限っては、展開が向かなかった部分はあると思う。レース後に武さんがコメントしているように、大事に乗りすぎた感じはする。もっと流れる展開なら確実に勝てたわけでは無いにせよ、まだ上がり目はある。馬のポテンシャルに上がり目があるのがダノンベルーガなら、騎手の乗り方にまだ上がり目があるのがドウデュースだろう。
14:ジオグリフ
強い馬であることは間違いないが、勝ったのはユーイチの騎乗あっての部分は大きい。そもそも、ゲートの出は本来かなり悪い方の部類に入る馬ではある。次以降も確実とは言い切れない。
16:デシエルト
アクシデントが無ければと思わざるを得ないレースだった。本来ならもっと早いペースでハナを進める馬だけに、次走も注目したい。
18:イクイノックス
ゴール前で競り負けたものの、大外枠からこの結果は立派。強さはホンモノだろう。疲労がたまりやすく間隔を詰めて使えなかったが、これからが楽しみ。ダービーでも本命評価は揺るがないか。